暮れに、噺家の桂きん枝師匠とご一緒にゴルフをプレーさせていただきましが、ゴルフの腕前はさすがで、特にアプローチショットが抜群でした。「師匠はアプローチがお上手ですね」と語りかけると、「寄せ(寄席)で生きていますから」と軽妙な答えが帰ってきて、さすが、と唸りました。ゴルフのプレーではこのような会話でグッと場が楽しくなりますが、今回はプレー中のウイットと題していくつかのレパートリーをご披露したいと思います。
まず、定番なのが歌手や有名人の名前がついたものがあります。
「淡谷のり子」:往年のブルースの女王で、グリーンに惜しくも乗らなかったときに使う。「三浦届かず(友和)」:山口百恵の旦那さんですが、これもショートで届かなかったとき、「神田正輝」:タレントで、ボールにダフリ気味に厚く入り、ショートしてしまったとき、:「野口五郎」:新御三家の歌手ですが、トップして、ゴロの打球になったとき使う、などです。
最後の野口五郎さんは、かなりのゴルフの腕前らしく、コンサートの際のトークで、新幹線の特別車がガラガラで、野口氏一人乗っていた時、車掌さんから「お客様はゴルフがお上手なんですね」と言われたときのことをジョークしています。「なぜ、わかるんですか?」の答えは、「だって、グリーン(車)に乗っておられるのはお客様お一人ですから」と。
その他、打ったボールの軌道が右に逸れたときは「安倍内閣」、左に逸れたときは「共産党」などということもあります。
これらのギャグやジョークを最も教えていただいたのが、前兵庫県立がんセンター院長、現兵庫県病院事業管理者の西村隆一郎先生で、私の郷里の先輩です。西村先生とは、ゴルフを度々ご一緒させていただくのですが、いつも最初から最後までジョーク漬けのプレーになります。しかし、氏のそれは、かなり気品のあるものです。
「ゴルフは3回も楽しめるスポーツだ。すなわち、コースに行くまで、プレー中、プレー後である。ただし、内容は、期待、絶望、後悔の順に変化する。」
「ハンディ30の人は、ゴルフをおろそかにする。ハンディ20の人は、家庭をおろそかにする。ハンディ10の人は、仕事をおろそかにする。ハンディ5以下の人は全てをおろそかにする。」
「私達の亡きあと、相変わらず皆がゴルフに打ち興じるかと思うと、死んでも死に切れない」
など、数多くの名言?を残しておられます。
おそらく、野球、サッカー、テニスなどはこのようなウイットを試合途中でいうことは少なく、ゴルフ特有のものでしょう。機転の利いた一言というのは、日常生活でも、グッと相手の気持ちに飛び込んでくる場合があり、みなさんも、自分の人柄に合った、多くの「ウイットの引き出し」を持っているといいですね。