2014/02/26

「双六(すごろく)の上手といひし人に」

  NICUは、1000g未満の超低出生児を代表とする未熟児や病的新生児を育てる施設ですが、この様な子供たちと向かいあったとき、私は、吉田兼好の徒然草、第百十段のこの一節をいつも思い出していました。双六の名人に勝負のコツを聞いたところ、「勝ちたいと思って打ってはいけない。負けないように打つ、すなわち、どんな手がすぐに負けてしまうかを予測し、そのような手は打たず、少しでも負けるのが遅くなるように打つのがよい」と答えたというものです。
  少しのことで悪い状態となってしまう赤ちゃんには、その子の持っている生命力を頼りに、循環、呼吸、栄養が悪くならないように、すなわち「負けないように」管理することが重要だと感じていました。そして、このことを、NICUの回診やことあるごとに、研修医や学生に言ってきました。